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黒い猫は不吉の象徴である。
勿論、カラスも。
カラスの死骸を目の当たりにしてしまった翌日。
わたしは愛と一緒に大学へ向かった。
今日の授業は昼からだ。
「あれえ? クロたんはあ?」
「朝から授業受けてるよ。わたしと愛はほぼ同じ履修だけど心は違うから」
「むう」
まだ心の呼び方が気にいらないのかな。
ほんとに頑固なんだから。
でも、当分変えれそうにないかな。
愛は思い出したように言う。
「あ、そうだあ! お昼まだだよねえ? あたし沢山作りすぎたから三人一緒に食べようにゃん」
にゃん?
また唐突だけど、かわいいからいいかな。
「いいね。じゃあ着いたら早速ランチタイムにしよ」
「やたあ!」
こうして、授業を終えた心と共に屋上でお昼ご飯を食べることになった。
「いい風だねえ」
愛の肩で綺麗に切りそろえた髪がさらさらと揺れている。
「うまいねこの卵焼き」
心は愛のお弁当に舌鼓を打っている。
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