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私達の出会いは、2人がまだずっと幼いころのこと。
初めて彼に逢った時、乳母と教育係のじいやに連れられた、まだ幼い蒼龍様は、私をみてにっこり笑った。
「君、凛麗っていうの?よろしく、僕は蒼龍」
利発そうなお顔で、私に優しくほほ笑みかけて、握手の手を差し出してくれた。
その時、隣にいた父上がかがみこんで、私の耳にそっとささやいた。
"凛麗や、お前は大きくなったら、必ずあのお方の花嫁になるんだよ?"
その日、私の運命は決まったのだ。
そりゃあ、
あなたが美しいと誉めた女の頭に毒のある毛虫を被らせたりと、少しばかりの意地悪をしたこともあるけれど。
私が手を振ったのに気が付かなかったことに腹を立てて、その後数か月無視を続けたことや、私を蔑ろにしてご学友と遊びに行ってしまった時には、父上にお願いしてその一家を遠くの赴任地へ追いやったりと、ささいな意趣返しはしたけれど。
でもそれは、無邪気なヤキモチや、幼いながらに構ってもらえない寂しさからしてしまったこと。
女心の悲しい性だ。
その時蒼龍は、悲しい顔で「なぜ」と聞いてきたけれど、利発なあなたのことですもの、きっと大人になった今では、それくらいのこと、解っているはず。
だって私達は、幼い頃からこんなにも長い時間を一緒に過ごしてきたのだから。
勿論、今はもう、そんな下らないことはしないわ。
きちんと分別をわきまえ、正妃として、蒼龍様をお支えする自信がある。
健全な殿方のすることですもの、
どれだけ派手に、酒家楼閣で遊ぼうとも、どれだけ多くの側女を娶ろうと、私は赦して差し上げるわ。
だって正妃は私ただひとり。
黎妃だの小蘭だのといった馬の骨の追随は許さない、
そもそも皆、本当の蒼龍様をご存じないのだわ。
あれは、ものすごい野心家。
父王の上にいくことを誰より望んでいらっしゃる。どれだけ嫌っていても実はそっくり、御父上とよく似ていらっしゃる。
旺盛な意欲で周りを巻き込み、己の信条を頑固に曲げず、すべてに逆らう唯我独尊。
父王以上の大きな国を作り、父王を超えた治世を行うのがあの方の大望。
だからこそ。
あのお方には私の父の権力と人脈、美貌、知性、人脈を兼ね添えた私が絶対に必要なの。
なのに…。何よ、あんな女のために、あんな死闘なんて演じないでよ。
私とは違う、どこにでも掃いて捨てるほどいるような並みの女のために。
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