高嶺の花 -凛麗-

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それでも、蒼龍様はまだ仕方がない。 お父様にお気に入りの女を奪われ、ムキになっていらっしゃる。 そうよ、やはり憎いのはあの娘。 皆の前で蒼龍様に抱き上げられた時の、あの得意げな顔といったら! 蒼龍様が、あの女の部屋に入り浸っているですって?おおいやだ、自分の室に殿方を連れ込むだなんてどんな神経をしているのか。文明もない北方民族では、そんな下品なことを日常茶飯事にやっているの? そんな者が蒼龍様(かれ)を汚染するのであれば、いっそあの時蠆盆に堕ち、蛇蠍に食われてしまえばよかったものを! しかし…あの黒い女が言っていたこと、すなわち、あの小蘭が嫡子を生むということは、ないとも限らない。御子というのは不思議なもので、高貴な女にも下賎の者にも、平等にやって来る。 …これには、早いうちに手を打たなければならない。 二番目、三番目ならまだ赦す。バカ女が生んだ子など、城の兵士にでもするといい。でも蒼龍(かれ)の摘子は絶対にだめ。 嫡子を生む役割は、絶対に正妃(わたし)でなくてはならないの。 ふふ、蒼龍様。あなたの我儘もここまでよ? 解らせてあげる、 すべてが思い通りにはいかないということを__ ギリ… 凛麗は、再び奥歯を噛みしめた。 いつしか口の端から、一条の血が滴っていた。
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