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ただ小蘭は、自分のやっていることは、春明先生などごく一部の人を除けば、誰に迷惑をかけているわけでもないと思っている。
皇后様の評判は聞いている。
厳しいことは厳しいが、皇帝のように残虐ではなく、依怙贔屓もしない方だとか。
だから、いくら小蘭が低い身分の妃だからといって、理不尽な扱いはしないはず、申し開きも聞いてくれるはずだ。
大丈夫、大丈夫…と心に言い聞かせてはいるが…怖いものは怖い。
だって、皆に厳しいというのなら、平等に小蘭にも厳しいってことだから。
半ば吐きそうな気分のまま、小蘭は、たった一人で皇后様の間に通された。
「小蘭、ただいま参りました」
小蘭は、皇后様が座している金色の椅子の下に頭を着けて平伏した。
公式な場で上位の位の方のお顔を直接見るのは基本NG。常識として、皇后様が"いい"というまで、決して頭を上げてはならない。
血が上るほど長い間頭を下げ、一体どれほどのお叱りを受けるのだろうかと、小蘭は怯えていた。
通常、皇后様が後宮内に吐いて捨てるほどいる辺境出身の妃になど、用はないはずなのだ。
だから余計に、小蘭は胃のあたりがキリキリと痛む。
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