二人だけの秘密

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山森くんみたいなイケメンに 急に見つめられたら ドキドキしてくる。 「あ、ま、まあ……そうだね。 えっと、これ……飲んだら帰ろうか」 上目使いで山森くんを窺う。 ーーーあれ? 変だな。沈黙しちゃってるよ。 なんか変なこと言ったかなぁ。 微妙な空気が私と山森くんとの間にながれていく。 その間、私は 否応無しに山森くんに見つめられていた。 ーーーそんなにみつめる? 息が 苦しいって。 あんまり見つめられちゃうと。 絶対やばいって。 「結衣さん、どうしたんですか? 顔が赤くなってる」 頬に伸びてきた山森くんの手。 それを避けるように慌てて立ち上がった。 「そっ!そうかなぁ、 お、おかしいね。ははっ」 虚しい笑い声がしんとしたオフィスに 響いていた。 「結衣さん、見て。外」 山森くんに言われて窓の外を見た。 ふんわりした雪が、ふわふわと舞うように落ちてきている。 「雪? えー、困るね。 傘もないのに。積もったら大変だよ! 山森くん 早く支度して帰ろ」 慌てる私の肩に山森くんの掌が置かれた。 ーーーえっ? 何、この手。 肩に置かれた手を見たあと、山森くんの方へ視線を向ける。 ーーーわっつ! 驚いて仰け反りそうになった。 だって、山森くんの可愛らしい顔があまりにもドアップで見えていたのだから。
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