467人が本棚に入れています
本棚に追加
「や、やだなぁ結衣さん!
まさか勘違いしてません?
あのきらびやかなラブホじゃないですよ。
あの手前にある焼き鳥屋ですよ。
オシャレじゃないけど、マジで美味いんですよ。一度、結衣さんにも食べてもらいたくて」
山森くんは、すごーく焦りながら赤くなって
早口で説明してくれた。
ーーーああ、なんだ手前の焼き鳥屋さんか。
ホッとした半面、勘違いした事が
とてつもなく恥ずかしいと感じた。
「ごめんね、勘違いしちゃって。そうだよね、山森くんがそんな風に私をみる訳ないのに」
恥ずかしくて俯いていた。
「そんな事ないです。結衣さんのことは毎日、完璧に女性だと意識して見てますから」
やけに胸をはる山森くん。
それから、真っ赤になって
「それでも、あんな……場所に結衣さんを誘ったりしませんからっ」
と、強く反論された。
「そうだよね。ごめん、ごめん勘違いして」
「そうですよ、初めて……なんていうか結衣さんを誘うとしたら、もっと小綺麗で素敵な場所にしますからっ」
「えっ?」
ーーー誘うの?
初めて誘うとしたら?
いずれ、そういうときが山森くんとあるってこと?
驚いて山森くんを見たら、山森くんは傘を持っていない方の手をやたらと左右に振った。
「ち、違いますよ。例えばです。例え話」
「あー例え話ね。びっくりした」
「そんなに驚きます?」
「ん?」
「俺も男ですよ。あり得ますからね。俺から結衣さんを誘うことなんていくらでも」
ーーーいくらでも?
最初のコメントを投稿しよう!