一:練成者達の出逢い

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 ーああっ…!    それでも、少女にとってはこれはまだこれはいい方だった…。  目下の問題は、男の子の方だ。  最初こそアザと、切り傷と、体の汚れだけだったが、度重なる拷問と暴行によってやがて指を、四肢を捥がれ、片目を潰され、男の子は日に日に人の形を失ってゆく。眼球や手足があった所からは、筋肉や血管、骨が露出していた。包帯で隠されていても、すぐに大量の血で滲んだ。手足がないために、自力で体を隠すことが出来ず、だらんと垂れた陰茎が丸出しになっていた。  お陰か、以降彼が拷問部屋に送られることは徐々に無くなっていったが、喜べる物では全くなかった。  『…』  果てには、彼は声を一切出せなくなった。五感の殆どを失っていたようにも思えた。呼吸も自力で出来なくなったのか、粗悪な人工呼吸器が取り付けられた。連日吐血し、彼が伏しているボロ絹のベッドも、彼の血で赤黒く染まっていった。失禁も繰り返し、シーツから排泄物が漏れ出していた。  だが彼は、自分がそんな惨たらしい姿になっているにも関わらず、その顔には苦悶の表情など無く、少なくとも自分の体や、全身の感覚が奪われ、消えてゆく恐怖など、微塵も感じていない様にも見える。寧ろ、彼は息が絶え絶えながらも、平静を保っていた。  一方の少女は、何故か天井から彼が原型を留めなくなってゆく、そんな惨状を黙ってみているしかなかった。同時に、そんな状況にあっても、苦悶の表情一つ浮かべやしない男の子を、不思議に思っていた。あの男の子は、あんな棲惨な目にあっても平気そうなのに、自分はそれに耐えられない。  本当は、痛くて、苦しい筈なのに…。
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