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そして、「裁き」と言う名のリンチを初めて数十分が経過した時、男達は皆興が覚めたのか、少年を脇にやったまま退屈そうにスナック菓子を肴に酒を飲んでいた。
そんな中、男の一人がビジネスバッグを片手に、
「なあ、この状況をもっと面白くするモン持ってきたんだぁ…くくっ…見てろよぉ…」
と言って、バッグのポケットに手を入れた…。
「…ジャ、ジャ、ジャッ、ジャーン!」
男のポケットの中から、銀色にギラリと光る、刃渡り十センチの、短くも鋭いサバイバルナイフが姿を現した。その『玩具』に興味津々な仲間は、皆立ち上がる。
「おいおい、そんな物何処で買ったんだよ」
「持ってたら、サツに足付けられたんじゃねえか?」
ナイフの持ち主である男は、「チッ、チッ、チッ」と、人差し指を立てながら仲間の疑問を否定する。
「あのカイレイスの連中から買ったんだよぉ、いつかこういう時がくるかもしれねぇからなぁ…」
男はナイフをちらつかせながら、横たわる少年の傍にしゃがむ。
仲間も、ナイフの男に追随し、少年の周りを囲む。
「ほぉ~れ、ほぉ~れ…何処から刺して、い・こ・う・か・なぁ~」
男はヘラヘラと笑いながら、取り出したナイフを少年に突きつけ、いつ切るか、刺すかという、「遊び」を楽しみ、周囲にいる、他の男たちもいつその刃が、少年の身体を突き刺すか、もしくは切り裂くかと興奮していた。ナイフの刃先を、少年の頬に、鼻に、首筋に、顔の他にも、腕、足、胸、股間と、上から下へと順に突き付け、少年にこれから死ぬという事を思い知らせようと言うのか、これを男は、五回、十回、何十回と繰り返した。
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