一:練成者達の出逢い

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 「あ、早かったねウロコさん」  「早かったね、では無い!聖鳴歌音、貴様、人の食事に許しも無く手を伸ばそうなど…」  「だって、ウロコさんがさんがミーたちと一緒に来なかったのがいけなかったんだよ?当然だよ」  「何だ貴様、宛て付けのつもりか?」憐は歌音ににじり寄るも、  「憐さん、姉さんの言うとおりよ。それに、貴方の分の朝食も食べてしまおうかと提案したのも私。それでも姉さんを睨むの?」  「し、しかしですね…」  「そもそも、食べ物に対する思いからすれば、本来他者の為に作られた分も残さず食べる、これも一つの術よ。十分理に適うわ。私がここまで言っても、貴方に反論できて?」  「うっ…」  姉妹の言葉が正論だと察し、反論も出来ない憐は、そのまま席に座る。  続いて、姉妹も自分の席に座る。  「よし、全員揃ったな。では、お手てを合わせて…」  「「「「「いただきます」」」」」  両親と歌音、奏、憐の五人は眼前の洋食ランチに手を伸ばし、それを口に運んだ。  「ん~、美味しいよ母さん、特にこのベーコンエッグが最高だよ~!」  「あらお父さんたら、大袈裟ね」  「…ん~おいひ~!」  「こらこら歌音、口に物を入れたまま喋っちゃダメだろう」  「そうよ姉さん、もう…十七になるのよ、しっかりしなさい」  「ええい、あの姉程とまではいかぬまでも、もっと喰わねば…もっと喰わねば…)奥様、おかわりをっ!」  五人は食べ物を次々と口に運び、風味を味わいながら、大きな声で談笑した。  こうして朝の時間はあっという間に過ぎる。
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