一:練成者達の出逢い

20/74
前へ
/424ページ
次へ
 …が。  「…大体さぁ、ぼくがあの子にぶつかったせいでもあるんだけどね…」  「…うん、前言撤回」  状況を見て気まずい二人を見て、奈橋が、  「二人とも、折角来てくれたのに、ウンコも片付けてくれたのに、ごめんねぇ…」  そもそも二人は察していた。ここに来るまでに周辺には人は殆どいなかったからだ。いざ着くと、店の周りは閑散としているし、周りは、本当に動物の物のみなのかも分からない便が大量に。  そして、待っていた現実は残酷だった。  「なばっちゃん」  「なっ、何かなぁ…」  「スイーツの方も、スナックの方も、ほぼほぼ完売してんだけど…」  「他のトッピングも、もうあんまり無いよぉ…」  メニュー欄にある商品は殆ど×マークがあり、頼めそうもない。 で、  「や、やっと見つけた…」  「けど、これ…」  どうにか、選べるメニューを見つけた時、絶望の余り二人の顔が、引きつった。  載っているのは、あのクリーム色の生地に包まれた中からはみ出る、大量の虫が刺さる、アイスに、黒蜜がかかった…、  「「イナゴトッピングの、黒蜜バニラアイス…!」」  更に、トッピングの方も、  「虫、ばっかりじゃん…」  名前が並んでいて、残っているのは食用ミルワームやサソリ、タランチュラ、蚕、カエル…。  残っているのは普段クレープにすら入らないような貴重だが、下手物食材ばかりで、普通のフルーツやスナック、野菜は一つも残っていなかった。   「あっ、あいちゃ~ん」  「あぁ、あはっ、あはははは…」   …明らかにゲテモノなクレープを喰らうのか。  そう思う二人の脳裏に、地獄の光景が浮かぶ。「ほんっとにゴメン、ゴメンねぇ~、ティーンエージャーには、きついよね…」と謝る奈橋の声も、今の二人には届かない。そりゃぁ、善意に見返りを求めるのは間違っている。それが子供相手なら尚更だ。なんの悔いも無い…が、いくら何でもこれは無いだろ。十代の女子高生にこんなもん食べろっていうのか…。
/424ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加