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…が。
「…大体さぁ、ぼくがあの子にぶつかったせいでもあるんだけどね…」
「…うん、前言撤回」
状況を見て気まずい二人を見て、奈橋が、
「二人とも、折角来てくれたのに、ウンコも片付けてくれたのに、ごめんねぇ…」
そもそも二人は察していた。ここに来るまでに周辺には人は殆どいなかったからだ。いざ着くと、店の周りは閑散としているし、周りは、本当に動物の物のみなのかも分からない便が大量に。
そして、待っていた現実は残酷だった。
「なばっちゃん」
「なっ、何かなぁ…」
「スイーツの方も、スナックの方も、ほぼほぼ完売してんだけど…」
「他のトッピングも、もうあんまり無いよぉ…」
メニュー欄にある商品は殆ど×マークがあり、頼めそうもない。
で、
「や、やっと見つけた…」
「けど、これ…」
どうにか、選べるメニューを見つけた時、絶望の余り二人の顔が、引きつった。
載っているのは、あのクリーム色の生地に包まれた中からはみ出る、大量の虫が刺さる、アイスに、黒蜜がかかった…、
「「イナゴトッピングの、黒蜜バニラアイス…!」」
更に、トッピングの方も、
「虫、ばっかりじゃん…」
名前が並んでいて、残っているのは食用ミルワームやサソリ、タランチュラ、蚕、カエル…。
残っているのは普段クレープにすら入らないような貴重だが、下手物食材ばかりで、普通のフルーツやスナック、野菜は一つも残っていなかった。
「あっ、あいちゃ~ん」
「あぁ、あはっ、あはははは…」
…明らかにゲテモノなクレープを喰らうのか。
そう思う二人の脳裏に、地獄の光景が浮かぶ。「ほんっとにゴメン、ゴメンねぇ~、ティーンエージャーには、きついよね…」と謝る奈橋の声も、今の二人には届かない。そりゃぁ、善意に見返りを求めるのは間違っている。それが子供相手なら尚更だ。なんの悔いも無い…が、いくら何でもこれは無いだろ。十代の女子高生にこんなもん食べろっていうのか…。
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