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「おい、そこの…赤毛にショート」
誰かの呼びかけに我に帰る二人。
その声の元に振り返ると…。
「あっ…」
そこにいたのは、長い黒髪と、紅色の瞳が美しい、自分たちと同い年くらいの少女だった。
モデルのように手足はスラリと長くスラックスやジーンズが映え、出るとこも出ている。
特に胸は藍良が(歌音程ではないが)生唾をゴクリとするほどだ。Eカップ位かなぁ。何かで見たような気もするが…う~ん、突然すぎて思い出せない。
でも何で、息を切らしてるんだろ…。
藍良はこれは応えないと失礼だと思ったのか、「はっ、はい、何ですか?」と、少女に尋ねる。
「ちょっと、気になってな…」
若干よろつき気味の少女が「ほれ」と、少し顔を赤くしながら、持っていたビニール袋から何かを取り出す。
「…まだ口は付けてない、やるよ」
「っ、コレ…」
藍良の顔に笑みがこぼれる。
眼前には、少女の手にあるクレープ、しかもそれもバナナやイチゴ、キウイ…とにかく沢山のフルーツがふんだんに乗っている。しかも二つ。
「あっあの、これ、良いんですか!?」
「いいんだ…自分の分はちゃんとあるから」
「自分の分って、彼氏とか?」
「い、いや、居候とその悪友だ。あんまりイタズラが過ぎるんで、ちょっと喝入れたくてな」
うわぁ、容赦ねぇなぁと思いつつ、藍良はクレープを受け取る。
しかし、何で同性に話しかけてるのに顔を赤らめてるんだろう。目も剃らし気味だし。
「あっ、ありがとうございます…でも、お代…」
財布を取り出そうとする藍良を見て、少女は首を振る。
「いや、いい。それ目当てで来た訳じゃない」
何と寛大な…ありがたやぁ…。
藍良はクレープを眼前に運び、心の中で拝んだ。
「…あ、でもそのお二人の分は…」
「ああ、そうだな…じゃ、代わりのヤツを買うか」
少女はレジに向かい、途中歌音の顔を見つめる。二人は一瞬目が合い、既視感があるかのように反応した。
「また来てくれていいことしたのに、ごめんね、もうイナゴしか無いんだぁ…」
「いや、ちょうどいい」
この人が残りのクレープ買ってたからイナゴのしか残ってなかったのか。
で、何処かですれ違って申し訳なくなって戻ってきたって訳ね…。
フン嫌いでド無乳の店員と、ナイスバディの客のやりとりを見て、納得する藍良。
そして少女は、×印の無いメニューを指差した…。
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