一:練成者達の出逢い

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 それからの二人は騒がしくも、にこやかだった。  あの後貰ったクレープを食べ歩きながら談笑し、雑貨屋で歌音が藍良の分も含めて文房具やコスメセットを購入した。  続いて入店したランジェリーショップで、歌音が下着を選んでいると、藍良がとんでもなくハデな下着を次々持ってきたので、ことごとく突っぱねた。また店員に3サイズを測って貰い、歌音はFカップ、藍良はCカップという結果に。  なお、藍良本人は、  「いや、あたしまできょぬーだとさぁ、歌音の躰の感覚が味わえないじゃ~ん」と、気にも留めなかった。   無論、直後に赤面の歌音に、公衆の面前で顔をブッ叩かれたのは、言うまでもない…。  「「いっただきまぁ~す!」」  昼食はファミリーレストランで済ませた。  歌音はハンバーグステーキにラーメン、若鶏の唐揚げ、フライドポテト、シーザーサラダ、デザートは特盛りフルーツパフェと、次々と平らげた。  藍良もチャレンジ型の特大カルビ牛丼を制限時間(30分)内に平らげ、景品のデザートは足りなかったのでケーキ三種をまとめて注文と、こちらも大量。  「おいおい、あの二人今日も来てるぞ…」  「相変わらず凄いわ…」  二人のことを知る店員や常連客は、その食べっぷりに、己の食欲も忘れて見取れ、新参者は何も言えずポカーンとなった。  食べた後も休むこと無く二人の足取りは続く。  「そこのバス、待ったぁぁぁぁぁぁっ!!」  バスでショッピングモール「チャイルドリーム」に来店し、  「ごめん、ちょっと手伝ってぇ~」  「ああ、だから一緒に行かなかったんだ」  そこで藍良が住む孤児院に送るために本屋やおもちゃ屋を物色していくつか商品を購入、宅配を手配した後、ゲームセンターでクレーンゲーム、プリントシール、レースゲーム、リズムゲームをして遊んだ。藍良としてはガンシューティングゲームやパンチングゲーム、格闘ゲームをして遊びたかったが、この日は避けた。  「えー、ぼくパンチするのやりた…」  「ダメっ!パンチはあたしに対してだけにしてっ!」  間食はこのモールには二人の一番好きな店が(調べたら全店舗共通で)出店していない(あたしのバイト先がぁ…by藍良)ので、仕方なくアイスショップでコーンの三個乗せを頼んだ。因みに歌音は上からチョコレート、ラズベリー、ミルク。藍良は抹茶、チョコミント、ストロベリー。  CD売り場では自分たちの好きなアイドルグループ「HNMT Shiny’s」のシングルCDを購入した。二人のお気に入りだ(尤も、藍良はメンバーの体つきにも興味津々だが)。  洋服コーナーでは…。  「ハダカ怖い癖して、ムラムラさせるチョイス…ギャップが堪んねぇぜぇ」  買いこそしなかったが、歌音が意外な趣向を見せた。ブラが着けられない位に胸元が大きく開いたシャツと、通常より丈が短いミニスカートだった。一方の藍良はやじろべえのイラストがあてがえられたフツーのシャツとこれまた至って普通のショートパンツだった。  途中、  「いたいのいたいの…と~んでけぇ~~~っ!」  の、ぴっかりさん案件も、三、四件あった気がする。  楽しい時間が、刻々と経過していった。
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