プロローグ

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 「じゃ、そこにある処刑台に寝かせちゃってくださ~い」  男達は少年をソファに寝かせると、そこから離れ、「観客」に戻る。  「あ、それと若干訂正させていただきますぅ。実はわたくし、心の臓以外にも色々な個所を刺してみたくなったんですよぉ~、皆さん、許してくださいますかねぇ?」  「なあ、いいよな?」  「ああ…いいんじゃね?」  「ジワジワ苦しめてその後サクッとかぁ…それも悪かねぇ~なぁ~」  「いいよいいよ、減るモンじゃあるめぇし」  「構いやしねぇ、刺せ、刺しまくれぇっ!」  「そうだ、ブッ刺せぇ!」  「ズッタズタに切って切りまくれぇ!」  「さっさとそのクズガキのハラワタ見せやがれぇっ、ヒャッハァァァァァッ!」  ナイフ男の血に飢えた願望に、観客となった仲間達は皆、異を唱える事無く笑い、声を上げる。  「刺~せっ」  「殺~せっ」  次第に、二つの言葉が繰り返される、狂気のコールが始まった。  「重ねがさねありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて、最初の一刺し…行っきぁぁぁぁぁぁす!」  ナイフ男の『聖剣』の切っ先が、真っ直ぐ振り下ろされた。  ー…バキバキバキッ、グサッ。  振り下ろされたナイフは少年の左手首を突き刺し、鈍いながらも肉が裂け、骨が砕ける音がエコーとなり男たちの耳に響く。  その刺し傷からは赤黒い液体がどろりと流れ出し、ナイフを抜いても出血の勢いは止まらない。  「ウォ~~~、いったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」  「いいぞいいぞぉ~~~!」  男達は公開処刑の始まりに、改めて歓声を上げた。次はあっち刺せ、こっち刺せのコールを出す者もいた。  一方の少年は、声を出す力が残っていないのか、叫び声すらも発しない。  そんな少年を見た男たちは  「おい、見ろよ。こんな奴にも赤い血が流れてんだな」  「ケッ、生意気が過ぎるんだよ」  と、笑いながら少年を蔑んだ。  「お~やおや、まだくたばらないようですねぇ、ま、そうでなきゃ面白くございませんけど。そんじゃ、次の一刺し、参りまぁぁぁぁぁぁぁぁす!」  処刑人は次に、少年の左太ももを刺した。骨折した上、神経も切れていたのだろう、左脚は痙攣すら起こさない。  「あらあら、まだ生きてらっしゃいますかぁ、しぶといですねぇ…ではジャンジャン刺して行きましょうかぁ!ぎぃぃぃぃやはははははは!!」  更に続けて、右脚、腹部、右手、左肩、右眼、首筋、跨がった上で局部と、全身まんべんなく次々に刺していった。部位によっては執拗に刺した。  だが、少年は何時まで経っても、死ぬ様子も、痛みに苦しむ仕草も見せなかった。痛みを感じているのか、いないのか、もはや誰にも、おそらく当の少年自身すら分らないのだろう。  「あ~、ガキをマッパにしたのはこの為かぁ~」  「あんなズタズタじゃもう突っ込めねぇなぁ」  「あれで糞したら痛ぇんだろなぁ~」  男達は己の股間や尻を押さえたりするなどリアクションをするが、全く痛そうにしておらず、むしろケタケタと笑うなど、喜んでいた。  血に飢えた、狂った喜劇が何十分と続き、只でさえ汚れとアザだらけだった少年の体は、切創と鮮血で更にズタズタに傷つき、塗れていった。
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