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しかし、それも長くは続かない。
「…さーてさて皆様、大変お名残惜しいところですが、次の一刺しで最後とさせて頂きます」
処刑人は宴の終了に残念そうな口調だが、その眼はむしろ笑っていた。その口もニヤリと不気味な笑みを見せる。
「あ~あ、もう終いかぁ~」
「もっとやって欲しかったなぁ~」
そう言う観客達も皆、悪魔のような笑みを浮かべ、興奮している。
「皆みな様、目をよ~く見開いておいて下さいねぇ…」ナイフ男は、大きく息を吸い込み、聖剣を構える両腕を上空に挙げる。
「…この『ニホン』を、腐らせて、俺らから、全部奪い去った、裏切者のぉ、屑ガキのぉ…惨ったらしい最後をよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼」
処刑人は勢いよく、血に染まりながらも、ギラリと輝く聖剣を少年に振り降ろした。
ードスッ。
処刑人の最後のひと振りの鉾先は、少年の左胸だった。
その左胸には、処刑人が持っていた短い「聖剣」が深々と、生々しく刺さっていた。少年は吐血し、傷口からも、おびただしい量の鮮血が流れ出し、その血はこれまでに作られた刺し傷から流れ出た血液と混じり合い、少年の身体を、処刑台となったソファを、赤く染めてゆく。
「ソラァァァァァァァァッ!!」
ーブシャァァァァァァッ…。
ナイフ男が勢いよく刀身を引き抜くと、少年の胸元の切創からおびただしい量の、赤い、命の水が吹き出す。その赤い水はナイフ男の体を赤く濡らしていく。
「…見よぉぉぉぉっ、この国を滅ぼした悪魔共が…チョメ公がまた一人討伐されし瞬間をぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ナイフ男は血塗られた聖剣を掲げ、観客達に向けて叫ぶ。
この様子を見た男たちは皆、確信した。
このガキはもうすぐ死ぬ。
この「国」を、「国」じゃなくした奴らの、腐ったガキが、また一人。
愛するものを破壊した奴らの、クソガキがまた一人。
ざまあみろ。
死んで詫びやがれ。
てめえの行き先は、きっと地獄だ。
「ウォォォォォォッ、シャァァァァァァッ!!」
「俺達はやったぞ、また一匹、仇を取ってやったぞぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ここにいた誰もが、悪魔の様に声を上げて笑った。
男たちは、スポーツの試合に勝った時の様な活気さこそ無かったが、声を挙げ、勝ち誇った…。
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