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“次は、つきのうら、つきのうら。終点です。お降りの際はお忘れもののないようお気をつけください。”
スペースシャトルからモノレールへと乗り継いで、つきのおもて駅からつきのうら駅へと到着した。あの子をいつか、月の裏まで連れてきて、この美しい景色を見せたいな。
ねえ、望。奇跡的にね、このつきのうらにも、小さな児童公園があるんだよ。ほんと、奇跡だよね。
地球って、なんであんなに大きく見えるのに、こんなにも遠く離れてしまっているのだろう。おおよそ三十八万五千キロメートル。手が届きそうで、届かない。
月にいる者にとっては、地球が離れてしまっているんだ、と感じる。けれども、地球にいる者たちにとっては、月が離れていってしまったんだ、と思っているに違いない。
あの子、私たちの最愛の子、望は、月に対してどんな感情を抱いているのだろうか。私たちのことをどう思っているのだろうか。もしかしたら月が、私たちが勝手に離れていってしまったと、孤独感を感じているかもしれない。
でもいつか、望も理解してくれることを信じ、また、これ以上離ればなれになる者たちの出ないよう、研究開発にいそしまないと。
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