1通の手紙

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再会の館はオフィス街の外れにひっそりと佇んでいて、昭和初期の時代に建てられたような木造の屋敷のような感じで、そこだけ異様な雰囲気を漂わせていた。 再会の館の門のところに呼び出し用ベルのボタンがあって、そのボタンを押してみるとインターホンから、 「どちら様ですか?」 と声が聞こえたので、 「影山と申します。」 と答えると、玄関のロックが解除されて中に入ることができた。 庭が広い屋敷で石畳に沿って歩いていくと玄関が見えてきて、玄関前に若い女性が立っていた。 「今日は、わざわざお越しいただいて、ありがとうございます。  どうぞ中にお入りください。」 その女性は若くて美しい顔立ちで笑顔で私に声をかけてくれて、玄関で用意されていたスリッパに履き替えるように促された。 屋敷は天井がとても高くて、少し薄暗い感じの静かな空間だった。 女性に案内されて広い廊下を歩いていくと、女性が廊下の途中にある部屋のドアを開けてくれて中に招き入れてくれた。 部屋に入ると奥に机があって、そこには白髪の老紳士が座っていて何か仕事をしているようだった。 女性がソファーに案内してくれて私がソファーに座ると、白髪の老紳士が私の対面に座って挨拶してくれた。 「はじめまして!  私は、この研究所の所長の『宗方(むなかた)』と申します。  よろしくお願いします。」 「『瑞樹(みずき)』と申します。  よろしくお願いします。」 僕が挨拶すると瑞樹さんがお茶を用意してくれて僕の前にお茶を置くと、宗方さんの隣に座った。 宗方さんは、この研究所のことをわかりやすく丁寧に教えてくれて、主に天国に旅立った大切な人と意思疎通をするための研究をしているという話をしてくれた。
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