1通の手紙

4/13
前へ
/13ページ
次へ
「とても信じることはできませんよね?」 宗方さんの問いに僕は、 「はい 正直信じられません。」 と正直な気持ちを伝えた。 宗方さんが、 「先日、天音さんという方のお手紙を送らせていただきました。  手紙の内容は、天音さんのものではありませんか?」 と質問してきた。 「手紙の内容は、天音のもので間違いないように思いました。」 僕が答えると宗方さんはさらに話を続けた。 「私共の研究施設では常に天国との門戸を開いて、天国に旅立った人と意思疎通を試みているのですが、なかなか成果を上げることはできていません。  そんな矢先、ある日突然天音さんと意思疎通することができました。  天音さんは、影山さんにどうしても伝えたいことがあるらしく、天国に旅立つことはできていないようなのです。  すなわち、天音さんの魂は、まだ現生をさ迷っているようなのです。」 僕はどうしても天音と話をしたくて、 「天音と会話させていただくことはできるのですか?」 と質問すると、 「現時点での研究では、こちらから天音さんに声をかけることができないのです。」 と宗方さんが残念そうに話してくれた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加