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暮井九郎の視界が闇から解放され、最初に目に入ったのは。
豪華な装飾品を身につけ。
貴賓に満ちた衣装を纏い。
高貴な雰囲気に包まれた。
少女であった。
(喰われて終わりの死亡フラグじゃなかったのか)
それでもよかったのだけれど、さらに興味のある異常な展開。
しかし、こんな異常事態にも関わらず動揺すらしないなんて、ゲームのやりすぎは怖い。
「あの」
「はい」
「私はウェストラント王国第一王女。アリス・セリア・シャルロット・ド・ウェストラントと申します。あなたのお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「暮井九郎と言います」
「クレイクロウ……勇者クレイクロウ様ですね」
(ん? ああ、苗字と一緒にしているのか)
「クロウでいいですよ」
それはいいにしても、勇者――
(場違いにも程がある)
けれど、期待はある。目の前の王女様が自分の事を勇者と呼ぶからには、何らかの必然性があるはず。ならば、アニメのように特殊な力を持っているのもまた必然――。
「クロウ様。急で申し訳ありませんがまずはここから脱出しましょう」
アリス王女はクロウの手を引き部屋の出口へと引っ張る。
脱出……。
つまり、ここは危険だということ。確かに、出口からのびる階段から金属がぶつかり合う音が響いている。上で誰かが戦っている。
この時、クロウはどう脱出するかではなく全く別の事を考えていた。
(この展開は、オープニングバトルかな)
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