第一話 始は死から

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 暮井九郎の視界が闇から解放され、最初に目に入ったのは。  豪華な装飾品を身につけ。  貴賓に満ちた衣装を纏い。  高貴な雰囲気に包まれた。  少女であった。 (喰われて終わりの死亡フラグじゃなかったのか)  それでもよかったのだけれど、さらに興味のある異常な展開。  しかし、こんな異常事態にも関わらず動揺すらしないなんて、ゲームのやりすぎは怖い。 「あの」 「はい」 「私はウェストラント王国第一王女。アリス・セリア・シャルロット・ド・ウェストラントと申します。あなたのお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」 「暮井九郎と言います」 「クレイクロウ……勇者クレイクロウ様ですね」 (ん? ああ、苗字と一緒にしているのか) 「クロウでいいですよ」    それはいいにしても、勇者―― (場違いにも程がある)  けれど、期待はある。目の前の王女様が自分の事を勇者と呼ぶからには、何らかの必然性があるはず。ならば、アニメのように特殊な力を持っているのもまた必然――。 「クロウ様。急で申し訳ありませんがまずはここから脱出しましょう」  アリス王女はクロウの手を引き部屋の出口へと引っ張る。  脱出……。  つまり、ここは危険だということ。確かに、出口からのびる階段から金属がぶつかり合う音が響いている。上で誰かが戦っている。  この時、クロウはどう脱出するかではなく全く別の事を考えていた。 (この展開は、オープニングバトルかな)
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