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セシルは木製の椅子に座り、ベッドの上の青年をみながら思いを馳せる。
青年――まるで、生気の無い。
死んでいるかのように眠る男。
クロウというアリス王女が召喚した勇者。
ごそり……と、クロウは身じろぎしセシルを見つめる――後、また目を瞑った。
「……勇者殿。起きてください」
セシルからすればこの2度寝という行動、信じ難い行為だ。
2度も睡眠をとるなど、もったいないにも程がある。
その時間を鍛錬に使うべきだ。
クロウは目を瞑ったまま言う。
「後、3時間ほどしたら起きるよ」
3時間。そこは嘘でも後10分くらいにしておけばよいものを。
「残念ながら時間が無いのです。これからの事をお話ししたいので、まずは体を起こして頂けますか?」
「……わかりました」
そう言うと、クロウはだるそうに――面倒くさそうに体を起こす。
(本当にこの方は勇者なのでしょうか)
やはり、不安にもなる。
ただ、この後のクロウの行方を考えるとセシルはクロウに対し同情してしまう。
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