彼方の岸

1/2
前へ
/12ページ
次へ
 泣きたいときに泣けるうちは、まだ幸せなのかもしれない。  辛くて、痛くて、苦しくて。どうしようもないほどの衝動をどうしたらやりきれるのだろう。  逃げ場のない、いつまで続くかもわからない生。いっそのこと、死んでしまえば何も感じなくなるのだろうか。  残った身体はバラして移植でもしてくれて構わない。生きたいと願う人たちが生きればいい。  自分はもう、こんな状態から楽になりたい。ただ、それだけだ。  特別に辛い人生ではない。自分よりも辛い思いをしている人なんて、この世には沢山いる。頭では解っているけれど、気持ちは常に底辺にいる気分だ。  嗚呼、酷く苦しい。生き辛い。 .
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加