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月虹が見える東京で
「今夜は、月虹がよく見えるわね」
2119年9月29日、東京某所。既にここは首都では無くなっていた。
農業工場での仕事を終えた私は、人もまばらな下町をとぼとぼと歩いている。ほとんどの店にはシャッターが降り、人はまばらだった。
100年前はめったに見られ無かった月虹も、東京では珍しいものでは無くなっていた。
「あのときの選択は正しかったのかな……」
満月の光が照らす夜の道を歩きながら、私は一人考え事をしていた。
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