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昨日のことがあったので、本日は、屋上に入る前に、敵影がないか、偵察。 うむ。誰もいないようだ。 では、音楽を聴くべし。 「そんなに、警戒しなくても。」 後ろ?いや、上?? 不覚だ。まさか、そのようなところに人がいるとは。 「また、驚かせちゃったかな。ごめんね。ホントに。」 悪いと思っていて、あえてやっているのか。 なんと、凶悪な人格であろうか。 「いや、別に、邪魔をするつもりとかはないんだけど。」 そうなのか。 ならば、特に問題はない。 さて、無駄なやりとりに時間を費やした。 今日は、そうだな、「J-POP(女性ボーカル)」にしよう。 「桜色舞うころ」ね。 スローテンポの曲から入ったか。悪くない。 「今日は、歌わないの?」 何だ? 「別に、こっちのことは気にせずに、歌ってくれていいよ。」 邪魔しないのではなかったのか。 極めて、邪魔なのだが。 中島美嘉の繊細な声が、聴き取れないではないか。 「今は、何を聴いているの?」 "邪魔をするつもりとかはない"の定義が、共有できていない可能性があるな。 問いただすべきだろうか。 いや。 疑問形に思えるから、返答が求められているのかもしれない。 「歌わない。『桜色舞うころ』。」 「あ。そうなんだ。うん。その曲は、知ってる。」 合っていたようだ。 そうか、音楽を聴いている人間を見かけると、曲名を尋ねたくなるタイプなのか。 別に、その程度ならば、答えなくもない。 「SEAMOは、聴いたことなくてさ。名前は知ってたんだけど。」 その程度ではなかった。 まだ続くのか、このやりとり。 どうしよう。場所の変更も検討しなくてはならない。 「昨日、帰ってから、SEAMOのアルバム聴いてみた。好きな感じだった。」 ほほう? そうなのか。 「マタアイマショウ」が収録されているアルバムは複数あるが、何を聴いたのだろう。 最初ならば、ベストが手に取りやすかろうか。 「あ、こっち見た。3-Aの三好です。よろしく。君は?」 あれ? SEAMOの話をするのではないのか。 なら、別にいいや。 とりあえず、今日のところは、音量を上げて対処しよう。 「あ、ごめん。うるさかったね。ごめんね。」 やたら、謝る人だな。 え?「SAKURAドロップス」? 違うだろう、シャッフルよ。 確かに、両方とも、桜の季節だけを歌った曲ではないが、それはさすがに違うだろう。
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