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「 富士子来い!」
お父さんの声が聞こえると富士子はびくっとなり走って行く。何をしていても呼ばれたらすぐに行かなければ、酷く殴られるからだ。ニコニコしてるお母さんとすれ違った。お母さんはいつもソファーの上に寝そべって動かないのに、お父さんが居る時だけバタバタと働く真似をする。今も富士子の作った料理を皿に移しているはずだ。
「おまえはお母さんがせっかく作ったお弁当を残したのか!感謝の気持ちが無い。この贅沢者があ。思い知らせてやる!馬鹿な女め。だからおまえはダメなんだ。」
いつもと同じ事を叫びながら富士子を殴って蹴った。パンツを脱がしてお尻を叩いた。赤く腫れてお父さんの手が痛くなるまで叩いた。富士子は声を上げるともっと酷い目にあうから虫歯だらけの歯をくいしばると
ギザギザの歯が砕けて歯茎が切れた。熱い物が富士子の中に入ってきた。出来れば痛くしないで欲しかったけど、そんな事は一度だってないのだ。今日あった事を本当の事を話したかったが口を開くと、
「 口ごたえをするな!」
と、余計に殴られる。
「ごめんなさい。許してください。もうしません。すみません。」
いくら謝っても許してはくれない。お弁当の残りを捨てて洗った事を後悔したが、もしも取っておいたら無理やり口に押し込まれるだけだと捨てて良かったのだと思い直しながら富士子はされるがままに抵抗はしない。暴力に支配されているからだ。
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