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あとがき
拙作をご高覧いただき、ありがとうございます。
この話は、超妄想コン第110回「手紙」に応募しています。よろしくお願いします。
さて。
この話には、3通の手紙が登場します。
まず1通目は、元クラスメイトから届いた手紙です。物語の入り口となる、きっかけの手紙は、主人公・野邑も読者も、この後展開する出来事に巻き込んでいきます。
手紙の主は、特段親しくなかった相手――曽我部史生。
野邑は、受け取った時点では、会うかどうするか迷っていたのですが、彼女に話した結果、引っ込みがつかなくなってしまったのでした。
そして出掛けて行った先では、すっかり容貌の変わった「曽我部史生」が待っていました。
何故彼が閉鎖された療養所に暮らしているのか、ここは何の研究をしていた場所なのか――秘密が紐解かれる内に、野邑は曽我部の巧妙な蜘蛛の糸に絡め取られていたのでした。
さて。
野邑が後戻りできない状態まで足を踏み入れてしまった時、彼を引き込んだ本当の目的が明かされます。
いつの間にか交わされていた血の契約は、帰りのタクシーの中にあった手紙――2通目――で示されます。
それと同時に、半年後に再び招聘状が送られてくることが記されています。
現時点では、まだ存在していない手紙――勿論、これが3通目です。
断る選択肢のない手紙は、果たして野邑の「救い」となるのか否か。
不安渦巻く中、彼は送迎のタクシーを降ろされます。
漆黒の中、引き返していく黒い使い――博士と同じ名字の個人タクシーの運転手は何者なのか?
どうやら事情を知っているかのようでした。
夢のように曖昧な記憶は、悪夢の始まり――。
野邑は、これから半年間、手紙を待ち続けることになるのです。自らの身体に現れる、ヘラクレスの蕾を摘みながら。
哺乳類に寄生(もしくは共生)する被子植物「ヘラクレス」は、勿論架空の植物です。他の被子植物に寄生する被子植物なら、実在します。
「寄生(或いは共生)」というイメージが持つ不気味さ。そして、人間から「花実がなる」という、異様さ。
この辺りが、怪奇譚として機能してくれれば、と願ってます。
あとがきまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
また別の話でご縁がありましたら、よろしくお願いいたします。
2019.10.1.
砂たこ 拝
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