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一歩前へと出て片膝を着いたのは三ノ眼であった。
「その方か、…頼んだぞ。城下に平和を。だが、決して無理をするでないぞ」
「…御意」
三ノ眼は将軍に返事をした後、明かりの届かない部屋の隅の闇から
姿を消した。
諜報活動を行う通常の忍と、妖退治を行う侃玄衆達の決定的な違い
それは、侃玄衆のメンバー全てが
『忍術』を使う事。そして扱う武器の素材が全て『鉄』では無く『銀』で出来ていると言う事。
コレは人ならざる妖達は全て『銀』に弱いと言う事からであった。
そして侃玄衆のメンバー全てが銀で出来た無数の武器を保持しているのだが、その全ては全メンバーが扱える特殊な忍術によって
体内に隠されていた。
妖と接触すると同時に体内から武器を取り出し戦いを始める。
…血の臭い……
城下、妖が出たとされる場所に三ノ眼は来ていた。そして仄かに香る血の臭いを辿った先には
血が付着した若い女性の簪が、一本の木の枝に刺さっていた。
「…」
怨
「⁉」
三ノ眼がその簪を眺めていると、すさまじい妖気が真後ろから迫って来た。振り向いた三ノ眼の先には、長い髪で顔を隠し俯き加減で立つ女性が居た。
そしてその女性は木の枝に刺さるその簪をゆっくりと指差し
「小僧…ソレ…に…触るなぁッ!!」
咆哮の様な声を上げ、髪を振り乱し眼を真っ赤に染めながら襲い掛かって来た。
…成程、六ノ眼がコレをあえて持ち帰らなかったのは、コイツを誘き出す為か…
三ノ眼は自身に襲い掛かって来る妖を撃退すべく、右腕を振るい
臨戦態勢を取った。
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