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三ノ眼が右腕を振るうと、その二の腕、そして肘から下の腕から無数の太刀が生まれた。
「ッ⁉」
妖はその不気味な右腕を視界に捉え、一瞬身体が強張ったが、それでも走る勢いを止めず三ノ眼に襲い掛かる
だが、その妖の攻撃を綺麗に避けながら三ノ眼は無数の太刀が生える右腕を妖に向けて振るった。
「グァッ⁉」
妖の全身から血しぶきが舞う
「う…ッ! ああぁぁぁ…! 肌が…肌が焼ける…!」
妖は自身に付いた無数の刀傷、特に顔の傷を抑えながらのたうち回る。
「その刃は銀⁉ どうりで…肌が焼け爛れる訳だ…‼ オ、オマエ…い、一体何者じゃ⁉」
地面に倒れ肩で息をしながらも、その真っ赤に充血した眼で目の前の男を睨み付ける。
「妖狩り侃玄衆・三ノ眼」
「妖狩り⁉ と、言う事は…その右腕に生える無数の太刀は…」
「オマエ達妖を退治する為に身に着けた…忍術だ」
『忍術』と言う言葉を聞いた妖は悔しそうにギリギリと歯ぎしりをする。
「噂は本当であったか…都には…我ら妖を脅かす……奇怪な術を使う忍という集団がいると…」
「…もう良いか?」
三ノ眼は妖に止めを刺そうと右腕に生えている太刀を体内から更に増やす。その無限の様に生まれて来る太刀は磁石の様に引き寄せ合い、まるで龍の身体と見間違える程にうねうねと蠢きながらその長さを増していく。
「ククク…私を倒した所で……何故私達が最近都に多く出没しているかわかるか? 私は主の命により、人間の…若い娘を攫う要員……主が何をしようとしているのかはわからぬが、本陣…百妖夜行・狐の攻め入りはもう既に……」
そこまで妖が話した瞬間、三ノ眼は右腕を振るった。
三ノ眼の右腕から生えた無数の太刀が形成した龍は妖へと襲い掛かり
その身体を刻み、その無数の太刀の中へと呑み込んだ。
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