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侃玄衆のメンバーそれぞれが自分自身のもっとも得意とする忍術を発動する。
姿を消し妖達に奇襲をしかける者、獣の力を自らに宿し四足歩行で構える者…
三ノ眼は今回は左腕からも太刀を生やし、右腕と共に凡そ千から成る無数の太刀で他の誰よりも速く妖達に襲い掛かり
右腕と左腕を内側から外側へ交差させる一振りで、妖の13体を一瞬で葬り去る。
「…動眼く尖の龍刃」
その両の手から生える約五百本ずつの太刀は龍の姿を形成し、その2体の太刀龍と共に、これ以上都へは近づかせないと三ノ眼は百妖夜行の行く手を阻んだ。
「ッ⁉」
「何事⁉」
突如、自分達の前に現れた自分達の存在を脅かす程の強者に妖達は息を呑み、全員が全員、次に来る攻撃に備えた。
しかし
百妖夜行の右端に陣取っていた数体の妖達が、右半身から血を吹き出し倒れた。突如倒れた仲間達に驚き、負傷しなかった妖達が眼を向けると
先程まで確かに存在していなかったはずの無数の苦無と手裏剣が倒れた妖達の右半身に隙間なく突き刺さっていた。
「…コイツ等が血を吹き出し倒れるまで、この武器達は実体化していなかった…ッ!」
妖の一体がそう呟くと同時に自身の心臓から焼ける様な痛みを感じた。慌てて自身の心臓部分を見るとそこには、1本の苦無が深々と突き刺さっていた。
「馬鹿…な……」
謎の攻撃の正体を探ろうと、ゆっくりと倒れながらも何とか意識を失わずにその苦無が飛んできたであろう方向へと視線を向ける。
すると何も無い、誰もいないはずの『そこ』の景色が静かに揺れ1人の忍が姿を現した。
「…侃玄流忍術・透過幻・狂」
こと切れる意識の中、その忍の姿を見て妖は全てを悟った。
「透明になる術…そういう事か…。奴が透明状態で放つ武器も又透明。そしてその武器は相手に刺さると同時に実体化するという事か…何たる素晴らしい技。誠に恐れ入る……」
妖は自らの命を奪う相手を賞賛する程の、今まで感じた事が無い気持ちに陥りながらその意識をゼロにした。
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