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瞳をちらちら巡らせながら、公園を出た。俺たちは、親子だと勘違いされるぐらいのお年齢差だった。彼女と、今回の件は手紙でやり取りした。誰にもバレないからだ。
いつでも逃げれるようにしながら、近所の十二階建てのマンションに向う。見上げるが、年末で旅行や帰省に出かけた人が多く部屋の明かりは少ない。
エレベーターに乗りむとお互いの息が白い吐息が交差した。そして、最も人気のない最上階でエレベーターを降りる。俺は無人の廊下を部屋に向う。一室で足を止めながら、ドアの電子ロックを外した。ここならもう安心だ。深呼吸をしながら他人から、見られることがない空間に入って行く。
「哲夫さん、いつも塾帰りの紗綾歌を家まで送っていただいて助かります。紗綾歌、お帰りなさい、叔父さんにはちゃんとお礼を言った? 哲夫さん。すぐにコーヒーを用意しますから。良ければ、寄って行ってください」
紗綾歌の母親は有名女優Aに似ている幸子さんだ。やけに丁重な口調で話しかけてきたが、俺は即答した。
「いえ、どうかお構いなく。僕はいつも散歩のついでに、夜の公園で筋トレをするのが日課ですし、塾の迎えも自分から申し出たことです……紗綾歌ちゃん、じゃあ、おじさんは帰るね、お休みなさい」
そういいながら、俺はたまってるストレスを発散するため、紗綾歌ちゃんには内緒で、公園に戻った。 毎晩公園トレーニングをしているのだが、塾帰りの時間に合わせると、先にできないのだ。
この時間に筋力トレーニングをすることになる。紗綾歌ちゃんは。兄貴である竜夫の娘で中学二年になる。
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