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作品の場所は、暗くなった公園にしよう。大学生くらいの女性と、十歳くらいの男の子の物語だ。
カップを片付ける。肩回しをしながら、明かりがついたままの自室に戻る。
〈【題名】『コタロウと夜の公園で』
【本文】月明かりの下、コタロウとわたしは一緒に歩く。もう、コタロウったら、人気の少ない公園に近づけば、手首を引っ張ってくる。少し腕が痛いかな? 仕方なく、歩みをコタロウに合わせてあげた。
公園の階段を上がる。コタロウが、グイッと首を上げながら、公園内を一望していた。ブランコにも滑り台にも、複数ある公園灯に照らされるベンチにも、誰もいない。
「ねえ、明るい場所に行こう」
私の言葉をスルーして、暗い茂みに引っ張られ、連れ込まれた。手首を引っ込めないと、オーケーのサインと思っちゃうみたい。コタロウはセッカチすぎる。暗がりでかなり不安。
「ダメ、こんな所でダメだって」
前、別の公園で知らないオジサン見つかって、怒られちゃった。必死に謝りながら、赤面しながら逃げきれた。生い茂る雑草をを踏みながら、フェンス近くにつく。近所の家の窓には、四角い明かりが灯っている。こっちに気づかれたら大変。
「あ、ダメ! み、見られた困るでしょう」
わたしの頬に熱がこもる。水滴が芝生の上に、恥ずかしい水溜りが丸く黒い染みを作って行く。体から、こんなにも出るなんて。わたしは、ドラッグストアで買ってきたアレを、条件反射的にもぞもぞ手に取り出す。
「舐めないでよ」
手の甲にチロッと赤く柔らかな舌で舐め上げられる。肌が唾液まみれになちゃった。いつもなら、嬉しいけど、今はヤダ。
アレがシュッシュっと霧状に広がっている。荒々しいオスの息遣いがわたしの鼓膜を振動させる。
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