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まだ学生でお金もない僕・・
いや、とりあえず、何もない僕と彼女の些細な冒険だった
その場所がどうして神社なのか?
どちらが言った言葉なのかは忘れたが、
・・何か悪ふざけをしても
神様の近くだったらすぐに許してくれそうだから・・
そんな意味不明の理由だったと思う
僕たちはいつもの喫茶店で珈琲を飲んだ後、
いつものように会話を交わしながら川沿いを歩き
神社に辿り着いた
町のはずれの小さな神社だ、参拝客はほとんど見かけない
僕たちは賽銭箱の前で二拝二拍手一拝をした後、
顔をそっと見合わせた
彼女に目で合図を送った後、
僕はポケットから先ほど買っておいたレモンを取り出した
レモンを見ると彼女は
まるでさだまさしの唄の中の彼女のように「きれい・・」と言った
「食べれるのに、捨てるみたいで、なんか勿体ないなあ・・」
そんな彼女の言葉に愛しさが込み上げてくる
彼女は「ちょっとそれ貸して」と言ってレモンを手にすると
小さな口を当て少し齧った
「すっぱい・・」そうぽつりと言った。
僕は思った・・
ああ、彼女は本当にさだまさしの歌詞の彼女と同じことしてる・・と
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