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「檸檬とレモン」
「檸檬とレモン」
彼女の不安そうな顔が僕に向けられた
「ねえ、見つかったりしたら、どないするん?」
「大丈夫や、そんなに心配せんでも」
「そやけど・・怒られたりしたら・・」
「レモンを置いてくるだけのことやで」
「神様のバチがあたるんとちゃうの?」
その日、僕たちはある小さな冒険をしようとしていた
神社の境内のお賽銭箱の上にレモンを置こうとしていたのだ
ずいぶん幼稚な真似事と思われても仕方がない
実際に僕たちは世間から見れば幼稚な二人なのだ
そう・・
梶井基次郎の小説「檸檬」では
主人公は本屋さんの本の上に爆弾に見立てた檸檬を置いて去っていく
そして、さだまさしの歌「檸檬」には
歌の中の恋人の女性が檸檬を橋の上から川面へ放り投げるシーンがある
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