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アチラのお医者さんとその師匠3の19
「――チッ。装置が見つかったか?あれらの場所は簡単にはわからないと思っていたんだが?だれが教えた?」
ガイコツムシャは、その疑問には直接答えず、ただ
「観念せよ!おまえごとき下輩(しもつばら)に、この街は揺るがせにもできん!」
怒鳴った。
「……うるせぇシャレコウベだ。おまえの相手はこいつらだ」
イロゴヘイたちに、襲わせる。
ムシャは鼻息あらく(たぶんそうだと思う。鼻はないけど穴はある)
「ええぃっ!簡単に書き換えられおって、この紙切れども!……鬼黒!」
「ヒヒ―――――――ン!!」
鐙(あぶみ)をゆらして駻馬(かんば)が疾走するや、ムシャの振るう刀によってイロゴヘイたちの首がポンポンはねられ、紙片と消えていく……。
強いなぁ!!
兄弟子は
「おっと。乗っ取ったシステムの影響を受けないか?さすがに強力な霊だな……こうなっては、ひとまず『これ』だけ頂いて撤退といこうか」
巻物を開いて(術的に)読み込もうとするが……
「なんだ、これは!?まっしろではないか!」
愕然として叫ぶ。
それに対して
「……そりゃそうです。それはただ予備の空ファイルですよ」
聞き慣れた声がした……と思ったら
いつのまにか、時代劇映画に似つかない赤白ボーダー・シャツにジーパンすがたで立っていたのは、のんのん先生だった。
「――やめてくださいよ、伽羅(キャリー)。人が管理してる場所に勝手に入りこんで荒らすなんて。この空間の維持は、けっこう大変なんですよ」
まったく緊張感のない声で諭す。
それに対して元・兄弟子は
「……どこに師匠の秘伝を隠した?のんのん」
ドスの利いた声で返す。
しかし、のんのん先生は変わらず軽い声で
「秘伝?そんなものありゃしませんよ」
「バカ言え!特別な手引もなしに、おまえごときに師匠の代わりが務まるはずないだろう!」
兄弟子のことばに、弟弟子はちょっと傷ついたらしく
「……ひどい言い方ですね。最低限の技術は、あなたが教えてくれました」
「あんなもので間に合うわけあるか、このバカもの!」
兄弟子の怒鳴りに、先生は苦笑みながらあごをかくと
「……まあ、たしかにわたしのみでこの街の医者を務めるなんて無理でしたね。だから、師匠は『彼女』を残してくれました」
そう言ってふりかえった先に、立つのは……
「なっ!?お師匠(っしょ)さま!?……いやっ!なんだ、おまえは?」
兄弟子……伽羅は目を見開いてるけど、なんなの?
だって、そこに立っているのは……
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