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アチラのお医者さんとその師匠3の2
やった!!行者が、のんのん先生の兄弟子のもとから連れてきたんだ!
(……って、ふたりとも両腕を縛られさるぐつわも噛まされている。
うーん、たしかにあの子たちは物騒だからな。ひっくくっておかないとあぶないだろう。でも、ちっちゃい子どもをそんなふうにあつかってたら、どう見ても行者のほうが誘拐犯として通報されそうだ)
それより、なんでシロゴヘイがあのふたごを?
「そりゃ、あれらもまた式神だからな。異物とみなされ襲われておる」
「そんな!あの子たちは人間の子どもだよ!」
思わず大きくなったぼくの声にも、冷ややかに
「シロゴヘイにそんな細かい判断はできぬよ。なにせ、やつらもまた単純な式神ゆえな」
つづけて
「本来、あの行者の実力ならば、あんな白いペラペラどもなど恐るるに足らんだろうが。どうも奴め、抱えているこどもにケガをさせんように動いておる。あんなもの、捨ててしまえばよかろうに……あの行者も、いまいちよくわからんな」
よくわからないのはあなただよ!あの幼いこどもを捨てるなんて、まともな人間に出来るわけないに決まってるでしょ!
ぼくは怒りで頭に血がのぼったけど、今はそれどころじゃない!
なんたって、たしかにさすがの行者も多勢に無勢で苦戦してる。
護法童子たちがいるといっても相手が多すぎる、このままじゃまずい!
「お師匠さん!あの子たちをたすけてあげて」
ぼくのさけびに、金髪女性はその顔を不審げにかしげて
「……助けるとは?なにからだ?」
なにって、バカじゃないの!?
「そりゃ決まってるでしょ!シロゴヘイからだよ!」
ぼくの腕をぶんぶん、あせり顔にもおかしげに
「ふうん……そうすれば、あのこどもたちは助かるのか?――まあ、よい。これも縁(えにし)だ。おまえの言うとおりにしてみよう……それにしても、のんのんがおまえを気にかける理由がよく分かるな。おまえと居ると飽きぬわい」
訳のわからないことを言ってないで!
ぼくのせかしに笑みをもらすと、金髪の麗人は腰のバッグからメスを取り出し、白装束に投げつける。 シロゴヘイに刃物が刺さったとたん、白装束はペラペラに……というか、ほんとうに白い紙にもどったよ!
お師匠は
「やはり、ベースは人形(ひとがた)だな。この街にも、まだ折れるものがおったか」
わけのわからないことを言う。
「――うん!?おぬしらは!?」
「感謝せぃよ、行者!この小僧のたのみで手助けしてやる!」
駆け寄りながらメスを繰り出すお師匠さんに、
行者は
「よりによって、おぬしなどに!」
助けられるのがいやらしく舌打ちするが、しかたないな。戦況は不利だもの。
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