105人が本棚に入れています
本棚に追加
「未来が育った島って栗洲島じゃなかったっけ?」
「うん、そうだけど…それが?」
「じゃあ100年に一度のクリスマス伝説って知ってるよね?」
雫の言葉の向こうに貴方が見えた。
どんなに待ち焦がれてみても無駄だったこの10年。
「うん、島の人間なら誰だって知ってると思うけど。それが?」
フロアランプだけが唯一の灯りの中
ベッドを出て
スマホ片手に伸びるワインボトルのある棚。
そのワインボトルの脇の写真立ての中の
幼かった恋心が蘇る。
准がいた最後の年の高校の文化祭で
出した焼きそばの屋台の中で
貴方がわたしの肩を抱いてくれた
ただ一枚残っている二人のツーショット写真。
最初のコメントを投稿しよう!