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「多分…」
「何?そのやる気のなさ!」
やる気がない訳じゃない。
准を忘れた訳でも諦めた訳でもない。
それでもどこかで少なからず疑っている自分もいる。もしこれで准に会えなかったらと思うとそれが怖い。
「でさ千年海岸の沖にラバーズクリスマスってホテルが出来てるの知ってる?」
半分キレたような口調の薫。
「あー…それ…何かネットで見た」
「あんなの島の人間は迷惑でしかないさあ!あんなのが出来て漁も出来んようになったってみんな怒ってるんだから。『この島にはあんなもん要らん』とか言うて」
「まあ…オシャレはお洒落やけどね。エントランスの両側には5メートルはあるカップルのサンタさんがおって、メインのホテルの地下3階の広場には高さ25メートルのツリーがデーンってそびえてるし」
ーーそんなところで准に会えたら…
と、妄想にかられる。
そう言えば10年前のクリスマス、
高3の島で最後のクリスマス、准がいなくなった年のクリスマスの昼過ぎだった。
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