あなたの影

3/5
前へ
/282ページ
次へ
0ea3ceb7-a411-4b40-8501-1ff161663b9d あれはーーーー。 10年前のクリスマスの日。 学校が終わり、その日は家とは逆の港の方を回って帰っていた。どうしてそうしたのかは分からない。 その日はとにかくそんな気分だった。 天気も良く久しぶりの快晴だったから なのかも知れない。 わたしは通称『爆裂坂(ばくれつざか)』ー そこは下る時はジェットコースターみたいで 物凄く気持ちいいけど 登りは心臓が破れてしまう程の急な坂ーー を一気に駆け下りた。 この瞬間は他の何物にも代え難かった。 ーーシューっ!!!! 坂を下った所にある、幼い頃から よく遊びに来ていた港の前の駄菓子屋に 何気なく寄った。 「おばちゃーん!こんにちは!…」 「…」 「いないのー!?」 「ラムネもらうからねーっ!」 と今にも壊れそうなかなり年代物の 冷蔵庫のようなケースに手を伸ばすと 奥から声が聞こえた。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加