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「そん声は未来さー?」
「うん」
「お金、いつもん箱に入れちょいてさー」
と奥から声はしてもおばあさんは出て来ない。
都会ではあり得ないことが
この島ではフツウだった。
都会ではあり得ないこのような離島の村ならでは…そんな長閑な風景がわたしは好きだった。
100円玉を一つ箱に入れラムネを開けると
一口、二口と続け様に喉に流し込んだ。
自転車を思い切り漕いだからか
喉がカラカラだった。
「アーっ!」ラムネの瓶を口から離したその時、ガラガラっと音がしてわたしは咄嗟に振り向いた。
視線の先にいたのは都会風のイケメン。
「ん…?えっ?ウソ…」
その時はまだ自分の目が信じられなかった。
それでもあれはーーーー。
薫と電話で話して急に昔のことを思い出した。
まだ頭痛が残ったままコーヒー片手に
本棚の写真立ての横に置いている
昔の日記をまためくる。
今見返すと我ながら恥ずかしくなる。
当時流行っていた文字を
ただ真面目なだけが取り柄だった自分が嫌で
無謀にも挑戦した都会のギャル文字。
ーー未来の字ってさあ…真面目さが滲み出てるよなあ。
そう言われるのが嫌で頑張った結果がこれ。
後悔先立たずとはこのこと。
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