あなたの影

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5e734a6f-7b37-4c0a-8638-ea8971b5ea10 「そん声は未来さー?」 「うん」 「お金、いつもん箱に入れちょいてさー」 と奥から声はしてもおばあさんは出て来ない。 都会ではあり得ないことが この島ではフツウだった。 都会ではあり得ないこのような離島の村ならでは…そんな長閑(のどか)な風景がわたしは好きだった。 100円玉を一つ箱に入れラムネを開けると 一口、二口と続け様に喉に流し込んだ。 自転車を思い切り漕いだからか 喉がカラカラだった。 「アーっ!」ラムネの瓶を口から離したその時、ガラガラっと音がしてわたしは咄嗟に振り向いた。 視線の先にいたのは都会風のイケメン。 「ん…?えっ?ウソ…」 その時はまだ自分の目が信じられなかった。 それでもあれはーーーー。 薫と電話で話して急に昔のことを思い出した。 まだ頭痛が残ったままコーヒー片手に 本棚の写真立ての横に置いている 昔の日記をまためくる。 6f2d12f6-c3bf-4a1b-8852-f43a0492d02c 今見返すと我ながら恥ずかしくなる。 当時流行っていた文字を ただ真面目なだけが取り柄だった自分が嫌で 無謀にも挑戦した都会のギャル文字。 ーー未来の字ってさあ…真面目さが滲み出てるよなあ。 そう言われるのが嫌で頑張った結果がこれ。 後悔先立たずとはこのこと。
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