悪夢の夜に貴方にさよならする

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悪夢の夜に貴方にさよならする

b8c7c498-ed2b-45d2-8ce4-4ab5caf68f7c 「おはよーっ!未来!何、冴えない顔して」 「雫、おはよう」 月曜日ーーーーー。 一週間のなかでとにかく(だる)い日。 ただでさえ嫌なのにーーー。 今日はなんか特別に怠い。 普段、それほどアルコールが残ることなんて 今まではなかったのに… 一昨日のワインがずっと胃の中に残った感じがする。 いつもの元気な笑顔でわたしに抱きつく雫。 胃の中から異物が上がりえづきそうになる。 「今日からしばらくは未来も営業企画部だから、行こ」 「えー?マジでえ?」 「アタシ…亮は苦手なんだよねー」 「なんでよ?これからは俺のこと好きになって行くから心配しないで」 振り返ると当の本人がすぐ後ろにいた。 そう言ってわたしの肩をポンと叩き 部屋に入りながら振り返るとウインクした。 ーーゲーーーーっ… 吐き気がする。 ーー心配なんかしてない! あのチャラさ、能天気さがわたしには無理。 基本、真面目過ぎるって昔から言われてきて 確かにそういうところもある。 結婚もしていないのに… 結婚する気もないのに身体を任せるなど わたしには無理だと思ってきた。 どれだけ堅物扱いされても それは変わらない。 幼馴染の托にも多少は亮のようなところがあったけど奴の場合はまた托とは違う。 托は田舎者のチャラさ ヤツは都会の突き抜けたチャラさ。 わたしにはマジで無理。 これからヤツとあの『クリスマス企画』を 担当するかと思うと酔ってもいないのに 無性に吐き気がする。
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