レタードロボー

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出来る限り、笑顔でハヤトに告げた。 目の前の黒い瞳から綺麗な雫が、ポロリと溢れ落ちる。真っ直ぐに私を見つめ返したハヤトは、眩しい光に包まれた。 「俺、チヒロが大好きだ!」 クシャッと笑ってそう言ったハヤトの顔は、私がバイトを始めた頃に見たあの顔だった。 「私もハヤトが大好き!!」 まるで黄色の花弁が舞うように、ハヤトを包んだ光は秋風に揺れて、夕焼けの空高く飛んでいく。 その儚い光を追いかけるように、優しい黄色の封筒も一緒に空へと消えていった。 その光景を見つめながら、頬を流れたそれを拭う。 ハヤトが行くべき場所へ、行けますようにと太陽が染めた空に強く願った。
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