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私の声を聞いて本棚の影からチラッと顔を出したソイツは、酷く不機嫌そうにベーッと舌を出してきた。
なっ、なんなの!?
イライラしながらソイツを睨んでいれば、「え、またって何が?」と吉田先輩が不思議そうに聞いてきた。
「いや、またっていうか…!」
オロオロしながら話せば、吉田先輩と私の間を本棚の影から飛び出したソイツが柔らかな黒髪を揺らしてダダダッと駆けていく。
「あっ!!!」
「え、何?どうしたの?」
ソイツはそのまま、図書室のドアをすり抜けて出て行ってしまった。
しかし、その光景は吉田先輩には見えてない。大丈夫?と首を傾げながら私を伺う吉田先輩に、グッと眉を寄せる。本当にイケメンだっ…!
それよりも今は…
「すいません!ちょっと用事が出来たので、また明日お話します!!」
苦い顔をしながら吉田先輩に告げて、ラブレターの行方を追わなければいけない。本当に今日という今日は許さない!
図書室のドアを勢いよく開けて、小さな黒髪が走っていった先へ足を進めた。きっと、アイツの行く先は屋上だ。
屋上までの階段を一気に駆け上がり重たいその扉を力を込めて開けば、小さな影はそこにいた。
「ハヤト!!!」
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