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「お待たせ」 外に出て五分も経たないうちにやってきた結城くんは、かなり息を切らしていた。 「大丈夫?そんなに急がなくても良かったのに」 「大丈夫だよ。それより、声かけてくれてありがとう」 「いやいや、むしろごめんね。何の約束もしてないのにちょっと図々しかったかなって、思ってたところ」 「そんなわけないじゃん!少し困ってたから、すごい助かった」 考えなしだったわりには、なかなか良い機転が利いてよかった。 「それに、初めて佐々木から飲みに誘ってもらえたし」 「そうだっけ?」 「そうだよ!いつも俺からばっかりだったから、嬉しかった」 また、あの眩しい笑顔だ。 「・・・あれって、誘ったうちに入るの?」 「俺がそう思ったんだから、それでいいんだよ。さて、どこ行く?なに食べたい?」 「え、本当に行くの?」 「もしかして何か予定あった?」 「いや私は何もないけど、結城くんは大丈夫なの?仕事も忙しいんでしょ?」 「あぁ、大丈夫だよ。担当じゃないのに手伝わされてただけ。でも俺の役目は終わったから、あとはどうにかするでしょ」 「相変わらずのモテっぷりだね」 「これはモテてるって言わないだろ~、参ったよ。でもおかげで佐々木とご飯行けるから、今日のところは許そう」 ほらこうやって魔法にかかったみたいに、感じていたはずの痛みとか不安とか疲れとかがどうでもよくなってしまうんだ。 「この間行ったお店がいいな。お魚が美味しかったところ」 「あそこか。佐々木えらく気に入ってたよな。今から行って大丈夫か、聞いてみるよ」 思わず結城くんから視線を逸らしてしまったけれど、特に気にする様子もなく彼はお店に電話をかけはじめた。 「席取っておいてくれるって」 「・・・え、あ、そっか、良かった」 「ん?どした?」 「何でもないよ。じゃあ行こうか」 言えるはずがない。横顔につい見とれていただなんて。 正面から見る顔が整っているから横顔も綺麗なのは当たり前だろうけど。 改めて見ると、目が離せなくなっていた。
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