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6年付き合った彼氏と別れた。半年前の話だ。
その6年のうち5年間は同棲していて、もちろん一緒に住むからには、私はこの人と結婚するんだと何の疑いもなく思っていた。
別れたと友人達に報告すれば、当然なんで?と聞かれたけれど、私もはっきりとした原因はわからなかった。
おそらく日々の小さなすれ違いや何気ないことが積もり積もって、弾けてしまったんだと思う。
一人でいる時間が楽しいことにふと気付いてしまってから、もう一緒にいることが辛いものへと変わってしまった。
だから、昨日言ったことは本心だった。
恋愛に疲れた、一人でいる方がずっと楽だと、本当にそう思ってこの半年を過ごしてきたのに。
昨日のあれはなんだったんだろう。
まるでプロ・・・いやいや、そんなわけない。
あまりに突然のことに居ても立ってもいられなくなって、私はわけがわからないまま結城くんを残して逃げるように帰ってきてしまった。
それに、思わず流してしまいそうになったけれど。
結城くん、私のこと下の名前で呼んだよね・・・。
社会人になれば名字で呼ばれることがほとんどで、不覚にもドキッとした。
名前を呼ばれたこともそうだけど、その時の見たことのない真剣な結城くんの表情に。
それで何だか急に居心地が悪くなって逃げ帰ってしまったわけだけど、一夜明けて冷静になって、どんな顔をすればいいのか悩んでいた。
まぁ、一日に会う確率そんなに高くないし身構えることないか。
そう思っていたのもつかの間。
影が指したかと思えば、目の前に定食ののったトレーが置かれて椅子がひかれる。
「お疲れ、佐々木」
「・・・お疲れ様」
誰だ、会う確率そんなに高くないって言ったのは。
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