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「あ、佐々木!」
私に気付いた結城くんは、その目を子供のように輝かせて近づいてくる。
「今から昼休憩?」
「うん。会議が少し長引いて」
「そっか、お疲れ。食堂行くなら、俺も一緒にいい?」
「いいけど、結城くんもお昼まだだったの?」
「外に少し用事あったからついでに済ませようと思ってたんだけど、意外と時間なくてさ」
とりあえず一段落したからやっと食える、と笑っている結城くんの後ろから、彼を呼ぶ声が聞こえてきた。
「おーい、結城?」
「あ、悪い。俺、佐々木と一緒に食うわ」
「わかった。じゃあこのあと第三会議室だからな」
「了解」
よく結城くんと一緒にいるところを見かける数人が、束になって去っていった。
「良かったの?約束してたんじゃ・・・」
「いいのいいの、いつものメンツだから。佐々木と一緒に食うメシの方が美味い」
あぁ、眩しい。
結城くんはいつも微笑んでいる印象だから、その顔はとっくに見慣れているはずなのに。
ここ最近は特に、輝きが増したように見える。
元々が異次元のような存在ではあったけれど、普段の姿はもちろんのこと、笑顔を向けられたときなんかは特に、本当に星がキラキラと輝いているかのように眩しくて。
思わず目をつむってしまいそうになるほどだ。
最初は私がどこかおかしくなったのかと思ったが、彼の変化に気付いているのはどうやら私だけではなかったようで。
今も尚、単純な興味や好奇心、棘が刺さるような鋭い視線を全身に浴び続けている。
私が知る限りでは、今まで彼女のかの字すら見当たらなかった完璧王子がこんなに特定の相手と一緒にいることなんてなかったから、こうなるのも当然といえば当然か。
でもさすがに、あちこち痛いな。
それを知ってか知らずか、結城くんはそのキラキラの笑顔のままで私との距離を少しつめると、彼の右手がそっと私の腰に添えられた。
「ほら、早くしないと時間なくなる」
優しく背中を押されて、私は一歩、また一歩と歩き出した。
不思議と、感じていた痛みはいつの間にか消えてなくなっていた。
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