ステーキを食べる男

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 両手にはナイフとフォーク。  そして、フォークで肉を突き刺し固定。  ナイフで一口大にカットする。  ナイフの刃はするりと肉を割いた。  割いた断面からは、じゅわりと肉汁が溶け出す。    私は大きく口を開け肉を口の中へと運ぶ。  その際、大きくカットしすぎたのか肉が唇に触れ油をつけてゆく。  構わず押し込む。  そして、その大きな肉を歯で噛み潰す。  ぶりんっ。という感触。  これが究極まで焼き加減を調節した肉の弾力。  弾力はあるのにあっさりと噛み切れてしまうのだ。  噛み切った断面から肉汁が水風船を割ったように溢れ出す。  「んおっ」  おっと、しまった。  しっかりと口を閉じていたのにも関わらず肉汁が口からぴゅるりと飛び出した。  構わず私は咀嚼する。  ぶりんぶりんとした食感は私の歯を喜ばす。  肉汁は私の舌を包み込み旨味で溺れさせる。
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