第90話 名前はアカネ!

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第90話 名前はアカネ!

   「よしよし」  「......」  あれからアオイが泣いている間、ずーーーーっと34番は抱きしめてアオイの頭を撫でていた。    「......も、もう大丈夫......だよ」  その効果もあってか徐々にアオイ自身の感情が戻ってきている。  「いいえ、まだです」  「うぐ......」  少なくとも今の状況に顔が赤くなるくらいまでは回復している。  「うにゃぅ……」  「可愛い良い!!妹ちゃんクンカクンカ」  思いっきり34番はアオイの頭を嗅ぐ。  「うぐ……」  当然、こうしてる間にも時間は進んでいる。  なので元々居るはずだった“主催者”がこの部屋に入ってくるのも不自然ではない。    「遅くなってすまない、ちょっとそこで__」  「__ずっと聞いてましたよね、ドアを少し開けて」  「敵わないな」  主催者の名前はリュウト、アオイと同じく【勇者】として召喚された人間だ。  「奴隷時代に私のトイレを覗く看守も居たんです、今さら人目なんて気にしません」  この少年が、降りてきた。  奈落の底に落ちたアオイの心を救いに……    「それで?いつまでそうしてるつもりだ?」  「あ、ごめんなさい」  そう言われた後、アオイは解放され、長い髪を無意識に髪をかきあげた。  「っ!」  「?」  リュウトはアオイの無意識の行動を見て見惚れるが……  「リュウトさん、許しませんよ?」  ネコミミ獣人は一言釘を刺す。  「え?あ!な、何を言ってるのやら!」  「ジーーーー」  「そ、それより、知ってると思うけど、改めて紹介するよ……その獣人は俺のパーティーメンバーの____」  「むぅ!」  あからさまに34番は顔を膨らまし不服そうな顔をリュウトに向ける。  「ごほん......家族の《アカネ》だ」  「よろしくお願いします♪アオイさん」  奴隷No.34番……アカネ。  アオイはその名前を心に刻み、覚え込ませる。  「よろしく……お願いします、アカネさん」  アカネの手を握り、優しい温もりを感じる。  「さて!と、じゃ、そろそろ戸の前で手を組んで待っている奴を連れてくるよ」  リュウトは話の区切りが付いたのを察して外に居る……  “もう1人の勇者”に声をかけた。  「もう入ってきていいよ」  「......帰ろうかと思った」  「まぁそう言うなってハッハッハ」  「!?」  入ってきた人物はアオイが絶対に忘れるはずのない存在。  「......久しぶり」  ヒロユキの姿だった。  「さぁ、全員揃ったし、【勇者会議】を始めようか。」  
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