1128人が本棚に入れています
本棚に追加
第2章 プロローグ あの一夜
お前と過ごしたあの一夜が、忘れられぬ。
いつも戦うこと耐えることを強いられてきた俺にとって、初めての体験だった。優しく大切に扱ってもらい、その優しさに戸惑ってしまうほど慈しんでもらった。
今……俺に出来ることは
お前を失わないように、お前を守ること。
お前が悲しまないように、俺が生きることだ。
こんな感情は初めてだ。
王宮の中庭を通り過ぎた時、真っ白な花が咲いているのを見つけた。葉の影に見え隠れする白い花に、医局にいるジョウの白衣姿を思い出した。
次はいつ二人きりで会えるのだろうか。
恥ずかしくも会いたい気持ちばかりが募り、日々の時間が長く感じてしまう。
ジョウ……君は今、何をしている?
俺は……お前のことを想っている。
最初のコメントを投稿しよう!