秘められた過去 5

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秘められた過去 5

「好きなんだ!女に抱くのと同じ感情だ。ヨウ……私は君のことが好きだ!」  ジョウの想いの籠った言葉を受け、雷に打たれたように立ちすくんだ。  え……頭が混乱してしまう。  今、なんて言った?ジョウが俺のことを好きと?  俺もずっと……  いや駄目だ。駄目なんだよ。  ジョウ……俺は汚れているから、お前にふさわしくない。だがこのまま理由も話さず、君の想いを拒否したと思われるのは嫌だ。  どうしたらいい。  俺の本当の気持ち伝えるべきなのか、心と頭がぐちゃぐちゃに揺れ動く。 「ヨウ……悪かったよ。驚かせてすまない。さっきの話は忘れてくれ。私は……どうかしていた」  がっくしと肩を落として、決まり悪そうにジョウが去って行こうとする。    待ってくれ。  待って欲しい……  意を決して伝えるから。  この話を聞いた君が俺のもとを去っても仕方がない。今まで誰にも今まで打ち明けられなかったおぞましい過去だ。  でも、それでもどうか聞いてくれないか。もう俺は毎晩のようにうなされる過去の呪縛から解き放たれたい。  君に助けを求めてはいけないか。  ジョウ……君になら何もかも話せそうだ。  大きく息を吸い込み、心を整えてから告げた。  「ジョウ、俺も……実はずっと前からお前のことが好きだった。でも俺にはお前に話していない過去がある」 「なんだって?本当なのか。私でいいのか!でも過去とはなんだ?」 「……この話を聞いたら、お前はきっと俺のことなど見たくなくなるだろう。だからお前が好きだということを、ずっと話せなかった」 「そんなことはしない!ヨウ話してくれ。どんな話でも受け止めたい!そのくらい君のことを愛おしく感じているのだ」 ****  ヨウはここまで一気に話すと、私の胸に顔を埋めてきた。私は少し躊躇した後、震える肩を優しく抱きしめてやった。 「何を聞いても恐れないよ。ヨウ……話してくれ」  ヨウは決心したように顔をあげ、私のことを思いつめた目で見つめ躊躇いがちに話し始めた。 「……俺が王の近衛隊長になる前に、違う隊に所属していたことは知っているだろう。その悲しい結末も……その頃の話だ」
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