監禁

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監禁

ベルトコンベアで流れてくる死体を解体する短髪の男。 と長髪の女。 「なあ、これいつからやってんの。」 「知らない。」 二人で衣類を脱がせた後、作業台に持ち上げてノコギリで切り分ける。 ある程度細かく切り分けて廃棄口に廃棄する、そんな単純な作業を繰り返している。 「俺より前にもう一人おったんやろ。その人に聞かへんかったん?」 「知らないって。口を動かす前に手を動かしてくれる?」 「はいはい。」 部屋には出口も入口もなく、あるのは廃棄口と部屋を横断するベルトコンベア、掃除用の水が出る蛇口。 それと腰ほどの高さの作業台にノコギリが一つ。 「この男、何で死んだんやろな。まだ若いよな。」 「男前だったのにね。」 「そうかー?俺の方が男前やろ。」 「うるさい。」 死体は痩せ細り、頰がこけていた。 外傷はなく、眠りにつくように死んでいる。 まずは重たい頭を切り分けると、ゴロン、と転がった。 「先に頭だけ棄ててくるわな。」 「よろしく。」 男は頭を両手で抱え上げ、部屋の壁にある廃棄口に頭を投げ入れた。 暗い闇の中に吸い込まれていく頭を見送った後、解体を進める女の元に戻った。 女が頭の無くなった胴体を作業台の上でズルリと回し、肩に斜めから刃を入れると血飛沫が飛び鈍い音とともに腕が離れていった。 次にもう片方の腕。 その次に脚。 あっという間に女の手によって解体された。 「相変わらず手際ええな。」 「まあね。」 「胴体もいらへんねやんな。」 「うん。足もね。」 男は作業台に取り残された胴体を抱え上げると、先ほどの頭と同じように廃棄口に投げ入れた。 女は切断した両腕を拾い上げて水道で洗い始めた。 赤色の混じった水が、部屋の隅の掌サイズの排水口に流れていく。 男は残された脚も廃棄口に運んだ。 「ほんまに食えるん、それ。」 「慣れる。」 「俺、無理やわ。」 「別に食べろとは言ってないから。」 表面の汚れを綺麗に流し終えた腕を貪り食べる女。 気持ち悪い、 男はそう思いながら床に飛び散った血を水道の水で流した。 「俺、あそこから落ちてきたんやんな。」 直径一メートル程にぽっかり空いた天井の一つの穴。 暗くて奥は見えない。 「うん。補充された。」 「補充、て。」
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