獣の誓い

2/8
1269人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
 美しき森、黒々とした山。  豊かな自然に抱かれたその大陸を、人は『けものびとの土地』という意味を込めて『シデナトヒ』と呼ぶ。  大陸を六つに分ける国々には、それぞれ希少種と呼ばれる王族が居た。その中で、角ある者の王としてアバール国に君臨するのが、一角獣族である。  仲睦まじそうに見える男女のうち、男の方が、その一角獣族の王であるケリャ王であった。 「ケリャ王、この度はつがい様とのお巡り合い、誠におめでとうございます」  彼の前へかしこまり、宰相が寿ぐ。  それを見てか、あちらこちらから、王の万世の治世とつがいとの巡り合いを祝う言葉が贈られ始めた。祝いの言葉に、可憐な姫が顔を赤く染める。  姫の名はミリュア、アバール国の隣にある、フェマル国の末姫であった。  
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!