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王とつがいの仲睦まじき様を、離れた位置から見守る。
(まさか姫が王のつがいとは……本当に驚いた)
王妃……ジャノルが、アバール現国王のケリャ・メ・アバールに嫁いだのは、打算と金勘定と利益の結論に過ぎない。
ジャノルは、辺境伯としてアバール国の西を守る大貴族の三男として生まれた。母は数代前に王妹が下った公爵家の娘であり、血筋としても申し分ない。体は健やかで、雄としても、雌としても、国のために立派な働きをするだろうと見込まれた。
一本角を額に抱きし、稀なる一角獣族は基本的に良識を貴び、多くのものをいつくしむ博愛主義者が多い。ケリャ王もそれに洩れず、ジャノルと共に健やかな家庭を築くことを望んでくれた。
共に、たった八歳での婚約だったが、二人は協力者として仲睦まじく過ごし、一年前に結婚すると共に即位した。
ところが、だ。
(ここにきて、つがいが見つかるとは……)
ジャノルは小さく、内心にため息をこぼす。
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